翌日、ウィンリィがひどく思いつめた顔で、エドワードを訪ねてきた。
「エド、ちょっと話があるの」
ひと気のないホテルの屋上にエドワードを連れて行くと、ウィンリィはエドワードの目を見ずに話し始めた。
「あんた見たでしょ。昨日の夜、あたしがリザさんと――ホークアイ中尉と一緒にいたとこ」
「あ……ああ」
昨夜の光景を思い出し、なんと答えていいか分からずにエドワードは頷いた。
「どう思った？」
「どうって？」
「言いなさいよ」
「何を？」
「ヘンだと思った？」
「いや別に」
「うそいわないでっ！」
ウィンリィの声は悲鳴に近くなる。
「自分でもわかっているの。変よ、絶対。だってリザさん、女の人なんだもの。女同士なのに。おかしいの。変なの。でも――」
瞳から涙がこぼれ落ちる。
「リザさんが好きなの……。どうしよう、エド。どうしよう……」
ウィンリィはそう言うと、スカートのすそを絞るように握りしめながら、そのまま泣き始めた。
その様子を辛そうに見ていたエドワードは、ためらいながら口を開いた。
「あのさ、ウィンリィ」
「なによ……」
「オレ……昨日、大佐と一緒にいたろ。なんであそこにいたと思う？」
「え？」
「…………オレさ、大佐のこと好きだよ。変だろ、男同士なのに。おまえと同じだよ」
ウィンリィが顔をあげた。
「――だからさ、泣くな」
困ったように笑うエドワードを見て、ウィンリィは涙をぬぐう。そして――。
ぐいと身をのりだすと尋ねた。
「いつから付き合ってんの、あんたたち」
「あ？」
「全然気がつかなかったわ。いつからそういう関係なの？ やっぱり大佐に迫られたの？ まさかあんたからじゃないでしょうね？ アルは知っているの？」
「え……いや、それは……」
ウィンリィの詰問にエドワードは耳まで赤くなった。
傍目には微笑ましいカップルのじゃれ合いにしか見えないやりとりの内容を、小鳥だけが聞いていた。
背景素材はBlue+Cloudからお借りしました。