ホークアイとウィンリィの二人連れが去るのを見送りながら、ロイ・マスタングは実のところあっけにとられていた。
まさかホークアイ中尉がそういう趣味の持ち主だとは思わなかった。あれほどの美貌の持ち主なのに、これまでほとんど浮いた噂がなかったのは、つまりはそういうことだったのだろうか？
――もっとも私だって他人のことはいえないんだが。
そうひとりごちて、ロイは傍らの少年を見やる。
エドワードも呆然としているようだった。思いもよらない状況で幼なじみと遭遇してショックを受けているのか、それとも……。
少し心配になって、思い切って尋ねてみる。
「君は……ロックベル嬢が好きだったのかい？」
質問の意味がわからないといった顔でエドワードはロイを見返す。それから薄く笑って、答えた。
「ウィンリィは幼なじみだよ。好きとかそういうんじゃなくて……。それより……あんたといるところを見られた。気づかれたかな？」
恋人の気がかりの種が自分が思っていたのとは別のところにあるのを知って、ロイは安堵する。
「気づかれたかって？ 向こうもそう思っているだろうね」
背景素材は月楼迷宮からお借りしました。