子供のころ一緒に暮らしていた猫は、ひどく誇り高く気まぐれで、人の手が己の毛皮に触れるのをめったに許そうとはしなかった。
そのくせ、食事のときと寒い夜にだけは、自分のほうからから甘えた仕種で擦り寄ってきた。
なんて身勝手な生き物だろうと思っても、見上げる瞳と甘い鳴き声に逆らうことができなかった。
そうして、僕はいつもドアをほんの少しだけ開けて、小さな気配がベッドの上に飛び乗るのを息を殺して待ったものだった。
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今、僕が一緒に暮らしている猫も、誇り高く気まぐれで、人嫌いを気取っているくせにときおり妙に淋しげな目をする。
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ドアを開ける小さな音に浅い眠りから覚まされて、僕は眠ったふりをしながら耳を澄ます。
枕元に近づいたまま動かぬ足音、かすかな息遣い。
シーツの上にしゃらりと彼の長い髪が落ちる。
僕がそっと寝返りを打つと、それを合図にマットが傾ぎ、金色の猫がシーツの間にもぐり込む。
その冷えた身体を抱き寄せて、僕はほんの少し意地悪な口調でささやく。
「エドワードさん、ここはあなたのベッドじゃありませんよ」
わがままな猫は拗ねた口調で言い返す。
「だって、今日は寒いから……」
ならばずっと寒い夜が続けばいいと思いながら、僕はつめたい肌に口づけた。
2006/10/29
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すみません、力尽きました……。夜這いエドワードさん、でも襲い受け。
時系列的に劇場版前のような感じもします。
とっととベッドをくっつけちゃえよ、と思うわけですが、スペース的に無理なのか……。
背景素材はしろくろねこの家からお借りしました