※劇場版捏造エンディング後。医学を勉強しているエドと精密機械を勉強しているハイデリヒ（健康体）は某所でまったり同棲中。
石畳の道を歩きながら、久々に晴れ渡った青い空を見上げて、彼が言う。
「空の色ってわけでもないんだよな」
「何がです？」
「宝石の青とも違うよな。やっぱり花の色か。わすれな草の」
「何の話なんですか？」
そう問いかけたら、いきなり顔を覗き込まれた。
「おまえの目の色」
どきりと心臓が高鳴る。
「あ……案外詩人なんですね、エドワードさん」
けれど、彼はそっけなく肩をすくめた。
「そんなんじゃねぇよ」
――単に僕の目の色を言い当てたかっただけなのかな。
――すごく罪なことしてるって、わかっているのかな、この人は。
ひとりでどぎまぎしたのが悔しいので、お返しに僕も言ってみる。
「リンデンバウムのはちみつ」
「え？」
「あるいは、トパーズのフリをした黄金糖」
「何だ、それ？」
「あなたの瞳。あるいはあなた自身」
そうして、わざと彼の瞳を覗き込む。
「ぴったりでしょう？」
「へぼ詩人がっ！」
そう言い捨てて、彼はさっさと先へと歩いていってしまったけれど、耳たぶまで真っ赤になっていたから、きっと僕の言いたいことは伝わったんだろう。
ぎくしゃくした彼の足取りに僕はなんだか嬉しくなる。
――今日は僕の勝ち。
たまには、こういう日があってもいいと思う。
(2005/09/20)
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たまにはハイデリヒも頑張ってエドワードさんを赤面させてみる。
黄金糖≒べっこう飴に類するものがドイツにあるのかどうか不明なのですが、まあイメージで。フランス料理には飴細工のお菓子があるんだから、あってもよさそうなものですが。